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嚥下(えんげ)障害とは?原因と症状を解説

食べ物や飲み物を飲み込む際に困難を感じる状態は「嚥下障害(えんげしょうがい)」と呼ばれます。嚥下は日常生活で自然に行っている動作の一つで、普段はあまり意識することがないかもしれません。しかし、この機能が低下すると、食事の際にむせたり、食べ物が喉に詰まるといった不快な症状が現れ、生活の質が大きく損なわれる可能性があります。嚥下障害は特に高齢者や神経疾患を抱える方に多く見られますが、若い世代でも発生することがあります。

この記事では、嚥下障害の基本的な理解から、原因や症状、そして関連する合併症について紹介します。嚥下障害についての知識を深め、早期発見と適切な対策を講じるためのお役になればと思います。

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1. 嚥下障害とは?

嚥下障害 とは、食べ物や飲み物を安全かつ効果的に飲み込むことが困難になる状態を指します。これは、口腔、咽頭、食道といった嚥下に関与する器官の機能不全によって引き起こされることが多いです。嚥下(えんげ)は食べ物や液体が口から胃に到達するまでの複雑なプロセスであり、このどの段階においても障害が発生する可能性があります。嚥下障害は高齢者に多く見られますが、神経疾患や筋肉疾患、構造的な異常など、さまざまな原因によって若年層でも発生することがあります。

2. 嚥下のメカニズム

嚥下は主に3つのステージに分かれます。まず、口腔期では、食べ物が口の中で噛まれ、唾液と混ざり、飲み込みやすい形に変えられます。次に、咽頭期では、舌の動きによって食べ物が咽頭に送られ、ここで反射的に喉頭蓋が閉じ、食べ物が気道に入らないようにします。最後に、食道期では、食べ物が食道を通り、蠕動運動によって胃に送られます。この一連のプロセスがスムーズに行われることが重要ですが、どこかで問題が発生すると嚥下障害が生じます。

3. 嚥下障害の原因

神経疾患

脳卒中やパーキンソン病、アルツハイマー病などの神経疾患は、嚥下障害の主要な原因の一つです。これらの疾患は、嚥下に関与する神経経路や筋肉の制御を妨げるため、飲み込みが困難になります。脳卒中の場合、脳の特定の部位が損傷を受けると、嚥下のメカニズムに影響を及ぼします。パーキンソン病では、筋肉の動きがスムーズに行われなくなり、食べ物を正しく飲み込むことが難しくなります。

筋肉疾患

筋ジストロフィーや多発性筋炎などの筋肉疾患も嚥下障害を引き起こすことがあります。これらの疾患は、嚥下に必要な筋肉の動きを制限し、正常な嚥下を妨げます。筋肉が弱くなることで、食べ物を口から咽頭、そして食道へと運ぶ力が低下し、飲み込む行為自体が困難になります。また、これらの筋肉疾患は進行性であるため、時間と共に嚥下障害が悪化することがあります。

構造的問題

口腔や食道の構造的な異常も嚥下障害の原因となります。例えば、腫瘍やポリープ、炎症、先天的な異常などがこれに該当します。腫瘍が咽頭や食道を圧迫すると、食べ物が正常に通過するのを妨げ、嚥下障害を引き起こします。また、放射線治療や手術後の瘢痕形成も嚥下機能に影響を与えることがあります。これらの構造的問題は、物理的に嚥下のプロセスを妨げるため、迅速な診断と治療が必要です。

神経疾患

特定の薬物や治療法も嚥下障害の原因となることがあります。例えば、一部の抗うつ薬や抗ヒスタミン薬は唾液分泌を減少させ、口腔内の乾燥を引き起こし、飲み込みを難しくします。また、放射線療法は口腔や咽頭の組織にダメージを与え、嚥下機能を低下させることがあります。化学療法も同様に、口腔内の健康を損ない、嚥下に影響を及ぼすことがあります。

4. 嚥下障害の初期症状

嚥下障害の初期症状としては、食事中のむせや飲み物を飲む際のむせが最も一般的です。食べ物や飲み物が気道に入ると反射的にむせることで排出を試みますが、このむせは唾液を飲み込むときにも起こる場合があります。また、飲み込んだ後に食べ物や飲み物が喉や胸に残っているように感じることもあり、これは食べ物が完全に食道に移行しないことが原因です。この残留感が不快感を生じさせ、食事を避ける原因となることもあります。

さらに、唾液をうまく飲み込めないために口腔内に過剰に唾液が分泌されることがあり、特に夜間に唾液が口から溢れる場合もあります。この状態は不快感や社会的な不便を引き起こし、生活に支障をきたすことがあります。加えて、嚥下障害では飲み込んだ後に声がかすれたり変わったりすることもあり、食べ物や飲み物が声帯に影響を与えることが原因です。これらの症状は、嚥下機能の低下を示す重要なサインと言えます。

5. 嚥下障害の進行症状

嚥下障害が進行すると、食事の困難さから体重減少や栄養不良が生じることがあります。食事を十分に摂取できないことで必要な栄養が不足し、体重が急激に減少することがあり、特に高齢者や慢性疾患を抱える方では健康状態の悪化につながるため注意が必要です。

さらに、栄養不良は免疫力や筋力の低下、慢性的な疲労感を引き起こし、ビタミンやミネラル不足による健康問題を招く可能性があります。また、食べ物や飲み物が誤って気道に入ることで誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引き起こすリスクも高まります。誤嚥性肺炎は特に高齢者で命に関わる重篤な状態となることがあるため、嚥下障害を持つ方は定期的に医療チェックを受けることが重要です。

6. 関連する合併症

誤嚥性肺炎

嚥下障害の最も深刻な合併症の一つが「誤嚥性肺炎」です。食べ物や液体が誤って気道に入り、肺に達すると感染が発生し、肺炎を引き起こします。特に高齢者や免疫力の低下した人々において、誤嚥性肺炎は重篤な状態となり、入院や長期の治療が必要になることがあります。

脱水症

嚥下障害があると、水分を十分に摂取することが難しくなり、脱水症になるリスクが高まります。脱水症は、体内の水分バランスが崩れ、全身の機能に悪影響を及ぼす状態です。特に高齢者においては、脱水症は重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、適切な水分補給が重要です。

栄養失調

嚥下障害によって十分な栄養を摂取できない場合、栄養失調が発生することがあります。栄養失調は、体重減少や筋力低下、免疫力の低下を引き起こし、全身の健康に悪影響を及ぼします。特に高齢者や慢性疾患を持つ人々において、栄養失調は重大な健康問題となり得るため、早期の対策が必要です。

こんな場合はご相談ください

「喉に違和感がある」「食事中にむせる」「飲み込みにくい」など、気になる症状がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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