1. 歯周病

歯周病になりやすい人の特徴や原因とは?

口の中には、およそ700種類もの細菌が生息していると言われています。中でも、歯周病はこれらの細菌によって引き起こされる代表的な疾患であり、放置すれば歯を失う原因にもなります。日本では成人の約8割が歯周病予備軍またはすでに発症しているとされており、自覚症状が乏しいことから「サイレントディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれています。しかし、同じような生活を送っていても、歯周病になりやすい人となりにくい人が存在するのも事実です。

本記事では、歯周病になりやすい人の特徴や原因について紹介します。健康な歯を維持するためには、歯周病のリスクを理解し、日々の生活で適切な対策を講じることが重要です。

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1. 歯周病とは?

歯周病の基本

歯周病は、歯肉炎から始まる進行性の炎症性疾患で、放置すると歯を支える骨や組織が破壊されていきます。初期段階では、歯肉が赤く腫れ、出血しやすくなる歯肉炎として現れますが、適切な治療を受けないまま放置すると、炎症が進行して歯周組織に影響を及ぼし、最終的には歯を支える骨が溶けてしまうこともあります。この病気は非常に一般的であり、多くの成人が何らかの形で罹患していますが、適切な口腔ケアによって予防が可能です。

歯周病の進行過程

歯周病の進行は、主に4つの段階に分けられます。最初は軽度の歯肉炎で、歯肉が赤く腫れ、歯磨きの際に出血が見られます。この段階で治療を開始すれば、ほとんどの場合、完全に回復することができます。次の段階は軽度から中等度の歯周炎で、歯肉がさらに腫れ、歯と歯肉の間に深いポケットが形成されます。この段階では、歯を支える骨が少しずつ破壊され始めます。重度の歯周炎になると、歯肉が著しく下がり、歯のぐらつきが目立つようになり、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。

2. 歯周病になりやすい人の特徴

遺伝的要因と家族歴

歯周病は遺伝的要因が大きく関与していると言われています。家族に歯周病の既往がある場合、そのリスクは増加します。特に、歯周病に対する免疫反応の違いが遺伝的に決定されるため、同じ口腔内ケアを行っていても歯周病にかかりやすい体質の人がいます。このような体質を持つ人は、通常よりも慎重に口腔ケアを行うことが求められます。遺伝的要因は避けられないものですが、適切なケアと定期的な歯科検診により、歯周病の発症や進行を遅らせることが可能です。

口腔内の衛生状態

口腔内の衛生状態が悪い人は、歯周病のリスクが高まります。歯垢は、歯周病の主な原因となる細菌の巣です。適切な歯磨きやフロスを使用していないと、歯垢が歯石に変わり、歯肉の炎症を引き起こします。歯磨きの際に歯間や歯肉の境目を丁寧に磨くことで、歯垢の蓄積を防ぎ、歯周病の予防につながります。また、口腔内の清潔さを維持するためには、歯ブラシの交換も重要です。古くなった歯ブラシは効果的に清掃できず、細菌の温床になる可能性があります。

食生活と栄養の影響

食生活も歯周病に大きく影響します。特に糖分の多い食品や飲料を頻繁に摂取すると、口腔内で酸が生成され、歯垢が増殖しやすくなります。また、ビタミンCなどの重要な栄養素が不足すると、歯肉の健康が損なわれ、炎症を引き起こす可能性があります。バランスの取れた食事を心がけ、野菜や果物を積極的に摂取することで、歯周病のリスクを低減することができます。特に、抗酸化物質を含む食品は、歯肉の健康を保つために有効です。

3. 歯周病の主な原因

歯垢と歯石の形成

歯垢は、歯の表面に形成される細菌の塊であり、歯周病の最も一般的な原因です。歯磨きやフロスで歯垢を取り除かないと、時間とともに硬化して歯石になります。歯石は歯肉に炎症を引き起こし、歯周組織を破壊する原因となります。特に歯と歯肉の境目や歯の裏側は歯垢が溜まりやすいため、意識的に清掃することが重要です。歯石の除去は通常の歯磨きでは難しく、定期的な歯科検診でプロフェッショナルクリーニングを受けることが推奨されます。

喫煙とアルコールの影響

喫煙は歯周病のリスクを大幅に高める要因として知られています。タバコの煙には多くの有害物質が含まれており、歯肉の健康を損なうとともに、免疫機能を低下させます。また、喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病が進行しやすく、治療の効果も低くなります。アルコールも口腔内の健康に悪影響を及ぼします。特にアルコール飲料には糖分が含まれていることが多く、歯垢の増殖を促進します。過度のアルコール摂取は口腔内の乾燥を引き起こし、細菌が繁殖しやすくなるため注意が必要です。

ストレスと免疫力の関係

ストレスも歯周病の原因となることがあります。慢性的なストレスは体の免疫力を低下させ、感染症に対する抵抗力を弱めます。これにより、歯周病を引き起こす細菌が増殖しやすくなります。また、ストレスは不規則な生活習慣を引き起こし、口腔内のケアがおろそかになる原因にもなります。ストレスを軽減するためには、適度な運動や趣味を楽しむことが推奨されます。心身の健康を維持することで、歯周病のリスクを減らすことができます。

4. 年齢と歯周病の関連

若年層と中高年層のリスクの違い

歯周病は年齢によってリスクが変わります。若年層でも歯周病にかかることはありますが、進行が遅く、適切な治療を行えば回復しやすいのが特徴です。しかし、ライフスタイルの乱れや口腔ケアの不足により、若年層でも歯周病のリスクは増加します。一方、中高年層では加齢による免疫力の低下や口腔内の変化が加わり、歯周病が進行しやすくなります。このため、中高年層は特に注意が必要であり、定期的な検診と適切なケアが重要です。

加齢による口腔内環境の変化

加齢に伴い、口腔内の環境も変化します。唾液の分泌が減少することで、口腔内が乾燥しやすくなり、細菌が繁殖しやすくなります。唾液は口腔内の自浄作用を担っており、その量が減ることで歯垢が溜まりやすくなります。また、加齢により歯肉が下がり、歯と歯肉の境目に食べ物が詰まりやすくなるため、丁寧なブラッシングとフロスの使用が求められます。これらの要因が相まって、年齢を重ねるごとに歯周病のリスクが高まります。

5. 歯周病予防のポイント

定期的な歯科検診の重要性

歯周病の予防には、定期的な歯科検診が欠かせません。歯科医師によるプロフェッショナルクリーニングや、歯周病の早期発見・治療が可能です。歯科検診では、歯垢や歯石の状態をチェックし、歯肉の健康を維持するためのアドバイスを受けることができます。また、歯科医師は口腔内の変化をいち早く察知し、適切な対応を行うため、症状が出る前の段階での受診が望ましいです。

食事による予防策

食事も歯周病の予防において重要な役割を果たします。歯周病を予防するためには、栄養バランスの取れた食事を心がけ、特にカルシウムやビタミンC、ビタミンDなどを十分に摂取することが推奨されます。これらの栄養素は歯と歯肉の健康を支えるために不可欠です。また、糖分の摂取を控え、特に就寝前の糖分摂取は避けるようにしましょう。水を多く飲むことも、唾液の分泌を促進し、口腔内の健康維持に役立ちます。

6. 歯周病と全身の健康

心血管疾患との関連

近年の研究では、歯周病と心血管疾患との関連が示されています。歯周病が進行すると、炎症が全身に広がり、動脈硬化や心筋梗塞のリスクを高める可能性があります。歯周病によって口腔内に細菌が増えると、これらの細菌が血流に乗って体内を巡り、心血管系に影響を及ぼすと考えられています。したがって、歯周病を予防することは、心血管疾患のリスクを低減することにもつながります。

糖尿病との関係性

歯周病と糖尿病には密接な関係があり、双方が悪循環を引き起こす可能性があります。糖尿病患者は免疫力が低下しやすく、感染症にかかりやすいため、歯周病のリスクが高まります。一方、歯周病による炎症は血糖値を上昇させる要因となり、糖尿病の管理を難しくすることがあります。糖尿病を予防・管理するためには、適切な口腔ケアとともに、定期的な歯科検診が重要です。

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